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質問きました(その14)~辞書は引いた方がいい?~

2023/10/02

質問きました。

「辞書は引いた方がいい?」

結論

とりあえずは引いた方がいい。

辞書を引くというのは「分からない語彙に出会ったとき」というとき、特に「文章を読んでいて分からない語彙と出会ったとき」になります。その語彙の意味を知るために辞書を引くのですが、時として「引いても分からない」ということもおこります。辞書を引いて、「なるほど」と納得して、文章に戻れれば、辞書を引いた甲斐があるでしょう。しかし、それでも分からないということもあります。

例えば、「弁証法」という語があります。この語を辞書で引くと、
「自己の内にある矛盾をみずからの発展によってなくし、あたらしく総合された統一に達する論理」
と記されています(小学館「新選国語辞典第七版」)。

さて、これを読んで「なるほど」とわかる方はどれほどいるのでしょうか。まず、この説明にある「矛盾」、「総合する」、「統一」といった言葉の意味が分かる必要があります。また、この語はどのような文脈で用いられているのかを知っていなければいけません。

簡単に言えば、一つの物事には互いに辻褄が合わない、対立した考えがあり、その考えをうまくまとめていきながら、より発展したに考えを出してみようという考え方ということでしょう。このように辞書に掲載されている説明を、そのまま理解できればいいのですが、それができない場合はどうすればいいのかという問題が生じます。学習者自信がそもそもそんなに語彙を持っていない、知識を持っていない場合に、辞書で語彙を調べてもそれを自分の言葉で咀嚼することはかなり困難なことなのです。ですから、「とりあえずは引いた方がいい。」という回答にしたのは、引かないでそのままにするよりはいい、という話で、それ以上の理解を求めるのであれば、文章の文脈による助けや、指導者の助けが必要になってくることを知っておく方がいいでしょう。辞書は自学のための完璧な道具にはなかなかならないのです。

ふと思い出しました。
昔、私の教え子の中に辞書を「読む」子がいました。適当に引いて、その後を読む。あるいは身近に知っている言葉をあえて引いて読む。初めから読む。言葉への興味か単なる趣味なのか分かりませんが、とにかく辞書を「読む」子がいました。そこにはおそらく目的はないのでしょう。たしかに、辞書は何と無しに読むと楽しいものです。私も、高校時代に英和辞典を読んでいたように思います。

辞書は道具、家来であるのか、あるいは仲間であるのか。辞書との付き合い方を考えてみるといいかもしれませんね。

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