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表現の幅~旧ブログからの転載~

2021/10/20

こんにちは。

旧ブログからの転載です。今回は2012年5月25日に掲載された記事をご覧ください。

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今日は国語の話です。

「これなんだ?」クイズを作ってみてください。そのとき、相手がちゃんと答えられるように作ってください。

たとえば、「消しゴム」を答えにしたいとしたら、どのようにクイズを作りますか?
「しろい、しかくいものってなんだ?」
これでは相手は答えられません。つまり、確実に相手にあててもらいたいというのであれば、その答えになるものの特徴を正しく、相手にわかるように問題を作らないといけません。

今日、小3の男の子と以上のような勉強をしていました。彼が問題を作る役、私が答える役です。
「夜、まっくらになると音がするものなんだ?」
彼が作ってくれた問題はこれでした。みなさんわかりますか?

答えは

「花火」

どうでしょう。ここでみなさんはどんな想いを持ちましたか?おそらくほとんどの人は「答えられなかった」と思います。正解になったのであれば、すごい想像力の持ち主?ということでしょう。

しかし、今回のテーマは「相手に答えてもらう」ということがポイント。多くの人に「わかった」という感じてもらいたいのです。

とすると、問題「夜、まっくらになると音がするものなんだ?」をどのように直したらいいでしょうか。ヒントは「(   )の夜、まっくらになると(    )と音がするものなんだ?」(  )に何か入れば正解に近づきそうな気がしませんか?

「夏の夜、まっくらになるとバーン、ドーンと音がするものなんだ?」

花火のイメージが湧きませんか?

このようにいろいろ「これなんだ」クイズを作っていくと、物の特徴を正確に捉えることができるようになるだけではなく、表現に幅を持たせることもできるようになります。

「表現の幅」というのは、書く上での「表現の方法」という意味だけではありません。読む上での「表現からイメージを具体化する方法」という意味も含めています。相手に分かってもらえるように伝えるため、相手が伝えようとしていることを分かるために、いろいろな表現を知ることが必要なのです。自動車の説明を「車輪が4つついていて、人を運ぶことができるもの」というだけとするのではなく、もっといろいろな情報を付け加えていき、特定化させることができるように表現することが大切です。また、小説などの豊かな表現から事物を特定化できるように読み込んでいくことも大切です。

書くことと読むことは同一線上にあります。こういう些細な題材から言葉や表現の感覚を磨いていけると、書くことも読むこともわかってきて、勉強にも幅を持たせることができるようになるのです。

では、みなさん。次のもので「これなんだ?」クイズを作ってみませんか?

1.学校    2.先生    3.校庭

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(補足)
学校の課題で文章を書というと、小説家、文筆家にでもなったように「うまい」言い回しを書かなければならない、それが書けることを「表現力がある」としているところがありますね。確かに、コンクールや、文集で選ばれるような文章はそのような「うまい」言い回しがなされているものもあります。しかし、それ以上に大切なことがあるのではないでしょうか。

文章を書いたり、何かを伝えたりする上で大切なことは、伝えていることがまず相手に正しく伝わるようにするということです。表現の技巧の前に、表現の正確さが必要なのです。読む人に和歌ってもらうための工夫、表現を考えることに注力することが文章を作成するためには必要なのです。「なんで読んでも分からないの?」と読み手に思う前に、まず自分の書いた物が正しく伝わるものであるかをぜひ確かめてください。表現力を身につける、というのはまずそこから始まります。

上記に「書くことと読むことは同一線上にあります。」と書いていますが、書くこともも読むことも結局相手がいることなのです。人が書いた物を読む時には、何を伝えようとしているのかを分かろうとする心がけ、自分が物を書く時には、相手に分かってもらえるようにする心がけが必要です。国語で学ぶことというのはそのような今目の前にいない相手との対話の方法です。そのことをこれからも児童・生徒に伝えていこうと考えています。

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