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連載「読む力と違和感のあいだで」【第3回】違和感が生まれる場面──読むことの“ズレ”をめぐって

2025/08/16

「この人、なんで急に怒ったの?」
「“正義”って、ほんとうに正しいの?」
「なんか、変だと思う…」
子どもが本を読んでいるとき、こんな言葉がぽつりとこぼれることがあります。
それは、物語の流れに乗り切れない“ズレ”の感覚。
でも、そのズレこそが、読む力の始まりかもしれません。

ある保護者の方が話してくれたエピソードがあります。
小学生の娘さんが、道徳の教科書に出てきた「親切な行動」の話を読んで、こう言ったそうです。
「でも、これって、相手が嫌だったら親切じゃないよね?」
その一言に、大人は少し戸惑います。
教科書の“正解”からは外れているように見えるからです。
でも、その違和感は、物語の奥にある“意味”に触れようとする試みです。
子どもは、自分の感覚と言葉のあいだで揺れているのです。


違和感は、読むことの副産物ではなく、中心にあるものです。
それは、言葉と自分との距離を感じる瞬間。
そして、その距離を埋めようとする問いの始まり。
読むことは、ただ理解することではありません。
「わからない」「納得できない」「変だと思う」
そんな感覚を抱えながら、言葉と向き合うことです。

私たち大人は、ついその違和感を“修正”しようとしてしまいます。
「それはこういう意味だよ」
「作者はこう言いたかったんだよ」
もちろん、説明することも大切です。
でも、説明の前に、その違和感を一緒に眺める時間があってもいいのではないでしょうか。
違和感を封じるのではなく、開く。
そのとき、読む力は、子ども自身の言葉として育ち始めます。

次回は、「問いかけとしての教育」について考えてみます。
子どもの違和感にどう応答するか──それは、教えることを超えた“共に揺れる”営みかもしれません。

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