2022/03/04
何気ない日常会話では、私たちは日本語を自然に使っています。
言葉選びにしても、考える前にすでに口から出ているということもあるでしょう。
そんなことから、私たちは日本語を使えると思い込んでいるのでしょう。
ところが、話すということと、書くということでは、日本語の運用が多少ことなります。
話すとき、つまり、目の前に人がいて、会話をするときには、その会話の流れ、話の文脈によって、言葉の多少の省略や、語順の乱れが補正されます。一方、書くとき、つまり目の前に読み手がいないままに内容が展開されるときには、そのような補正はなされにくくなります。
だからこそ、書くというときには、一文一文に注意を払う、極端な話ですが、それにふさわしい言葉を選び、正確な語順で書く必要があるのです。
日本語の使い手である私たちは、時としてそのことを忘れてしまいます。
作文や小論文を書くときに、まず言葉の語順を確かめてみるといいでしょう。
主語と述語、修飾語の位置は、その順序で伝わるでしょうか?
・大きな家の木の下で、犬が昼寝をしています。
この文で、「大きな」は何を修飾しているのでしょうか。
「大きな家の庭に植えられている木の下で、犬が昼寝をしている」のでしょうか。
あるいは
「家の庭に植えられている大きな木の下で、犬が昼寝をしている」のでしょうか。
・とてもわたしの心が暗くなり、だれとも口をきくこともできなかった。
この文で「とても」はこの位置でいいのでしょうか。
「とても」が就職するのは「暗くなる」という用言です。それならば、その言葉の近くに寄せる筆意用がありますので、「わたしの心はとても暗くなり、だれとも口をきくこともできなかった。」とするべきでしょう。
・彼の作文は、町で発行されている文集にも載せられ、高い評価を受けて、何かの賞をとることを期待している。
こちらの文の主語と述語を確認すると、不自然なことがわかります。「彼の作文は」「期待している」というのはおかしな話です。このような文はたまに見かけます。そうならないように、文を分けることも必要でしょう。
「彼の作文は、町で発行されている文集にも載せられ、高い評価を受けている。だから多くの人が、何かの賞をとるのではないかと期待している。」
「筆がのって、一気に文章が書けたよ」という時ほど、実は文の組み立てでミスをしがちです。注意を払いながら、一文一文に向き合っていくことが必要でしょうね。
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