2022/03/28
文章を読む、文章を書くのいずれについても、
「具体(ぐたい)」と「抽象(ちゅうしょう)」という概念を理解しておくことが大切です。
「具体」とは…
物事がすぐにわかる形や内容となっていること。
「抽象」とは…
物事からある要素や側面、性質をむきだしてとらえること。
私たちが目で見る物事、頭で考える物事は、この「具体」と「抽象」のいずれかの過程を得たものです。
例えば、次の画像を見てください。
これは何と問われば、一体、何と答えるでしょうか。
①リンゴとブドウとイチゴの絵
②フルーツ(果物)の絵
①、②ともに数字や色などの修飾語を付けることができますが、中心となる回答は名詞で示された①、②になるでしょう。
先の定義に照らしてみると、①が「具体」的な回答、②が「抽象」的な回答ということになります。
文章はこの「具体」と「抽象」の表現によって組み立てられています。
「具体」だけの内容では、伝えたいことが煩雑になり全体像は見えませんし、
「抽象」だけの内容では、伝えたいことがぼやけて全体像が見えません。
文章を読むときには、「具体」化された内容、「抽象」化された内容を整理する必要があります。
筆者が伝えたいことは、「具体」された内容よりも、「抽象」された内容であり、それを説明するために「具体」化を通して筆者は説明するのです。
文章を書くときも、「具体」的な内容ばかり書くのではなく、それらの内容を「抽象」化して自分の考えを述べなければいけません。
この区別は、文章読解、文章表現だけで用いられるものではありません。
身の回りの現象を捉える、社会の出来事を捉えるといった、私たちが思考するときに重要な作業の方式なのです。
もちろん、それが可能になるのは小学中学年以降でしょうが、子どもがそれを可能にさせるのが身近な大人がそれができているかということになります。会話の中で、それらを使い分けていけばいいだけです。いつも「具体」的なことだけではそれを「抽象」化する思考は育ちませんし、「抽象」的なことだけが耳に入っていても「具体」像はまったく見えてきません。
もう1点付け加えるならば、これらの作業を支える重要な要素は語彙です。
先の画像についても、「リンゴ」「ブドウ」「イチゴ」「フルーツ」という言葉を知らなければ表現は不可能です。「赤いもの」「丸いもの」といった表現者が分かる語彙の範囲の中で質問に回答するようになりますし、それ以上は何も思考できなくなってしまいます。
文章を読む、文章を書くときのぜひ参考にしてください。
※当学院はその辺りの指導も行います。