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読書で語彙は増えるのか

2022/09/08

こんにちは。

今回も私の一見解です。

言葉を知らない、どうしましょう。

そんな質問に対して、こんな回答がしばしば出されます。

「読書をしましょう。」

*******

前置きとして、これからお伝えすることは、読書そのものが必要ないということを言おうとしているのではありません。読書はするべきことであるのは確かなことです。

ただ、ここで問い直しておきたいことは、「読書で語彙は増えるのか」ということです。

おそらくこの回答はこのような筋道で伝えているのではないでしょうか。

「本を読むと、いろいろ言葉に出会えるから、それを読むことで自然に頭に入る」

この筋道で少し考えなければならないことは、「知らない言葉に出会えてすぐにその意味を知ることができるのかどうか」ということです。そもそも、文章を読むという行為は言葉を知らなければできない行為です。言葉を知らずに文章・本を読んでも、それは文字をただ目で追う行為になるだけではないでしょうか。

「分からない言葉に出会ったら、辞書をひけばいい」

・・・できますか?・・・しますか?
例えば、電車の中で読書していて、分からない言葉があったとき、わざわざ辞書を引かないのではないでしょうか。仮にスマホがあったとしても、多くはそのまま分からない言葉を素通りするのではないでしょうか。
そうすると、結局は言葉は多少見たことがあるかなぐらいで、覚えているのか覚えていないのか、知っているのか知らないのかぐらいで、結局「語彙を増やす」という目的にはかなわないのではないでしょうか。

本を読んでいて、語彙を覚えるというのであれば、正直1冊では無理でしょう。では何冊もというと、それには条件があるのです。それはその言葉が反復して使われ、何度も目にするということです。

例えば、Aという言葉が1冊の書籍に10回以上出てくれば、文脈の中でこんな意味合いかなと、正しい理解とまではいかなくてもその言葉を覚えることはできるでしょう。
あるいは、Aという言葉を書籍Xの中で出会った。そして、同じテーマの書籍YでもAという言葉に出会った、そして書籍Zでも・・・、というようにその同じ言葉に何度も出会えれば覚えることができるでしょう。

つまり、「本を読むと、いろいろ言葉に出会えるから、それを読むことで自然に頭に入る」
というアドバイスの「自然に」という部分(直接この言葉は使われていなくても、そのニュアンスであれば)には疑問が残るということです。単純に読書をしたからといって、Aに出会ったからそのときにAは覚えませんし、分からない言葉だらけの本を読んでしまっては、結局何も理解できなかったで覚えるも何もないことになります。

語彙の習得というのは何かをすればそれで身につくという簡単なものではありません。
語彙を習得するときに大切にしたいのは、日常生活の中での言葉のやりとりです。文脈が分かった状態で多少の分からない言葉があっても、文脈から多少の推測ができますし、そして、知っている人からの直接の言葉ですから、残りやすい(残るとは断言できませんが)と言えるでしょう。

この語彙の習得は非常に難しい話になりますので、ここでは書きませんが、少なくとも「本を読むと、いろいろ言葉に出会えるから、それを読むことで自然に頭に入る」という安易なアドバイスはいろいろ検討しなければならないと思います。

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